むし歯は、いわゆるむし歯菌が糖を食べて酸を作り、これが歯の成分である(ハイドロキシ)アパタイトを溶かすことにより起こります。
これを「脱灰」といいます。
初期のむし歯では、脱灰したアパタイトが歯に戻る「再石灰化」と呼ばれる現象が起こります。
フッ素、正しくはフッ化物を含むアパタイトは再石灰化を起こしやすく、いったん歯に戻ると次には脱灰しにくいため、歯の表面が強いアパタイトに置き換わってむし歯に強くなります。
つまり再石灰時にフッ化物がお口の中にあることが重要となります。
これがむし歯予防にはフッ素入りの歯みがき剤(ペースト、粉など)が良いといわれるゆえんです。
ところが歯みがきの後に何回もうがいをすると歯みがき剤に含まれるフッ化物が流れて薄くなってしまうのです。
歯磨き後に汚れを吐き出した後の仕上げのうがいは、ごく少量の水で1回だけにして、しばらく飲食しないことにより再石灰化効果が高まると言われています。
ちなみにわが国では、フッ化物配合歯磨剤は医薬部外品に位置づけられており、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化スズ(SnF2)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)の3種類のうちのいずれかとして配合されています。
現在、国内で販売される歯磨き剤の多くは身体に安全な濃度ですので安心して使用できます。
出典
■Dent.File別冊「大人う蝕時代のフッ化物応用」荒川浩久、ライオン歯科材株式会社、2016年